SEOの歴史と、それに対しての私独自の考察
そもそも、SEOとは何なのか?
SEOとは「Search Engine Optimization:検索エンジン最適化」を意味する言葉で、Webサイトが検索結果でより多く露出されるために行う一連の最適化施策を総称したものです。
多くのWebサイト管理者にとって、SEO対策というのはもはや常識と言えるぐらいの知識・技術だと思います。
私も、本格的にWebサイト運営に取り組むようになった初期の頃にSEOを学習した記憶があります。
今では自然とSEOを意識したサイト作りを行えるようになってきましたが、しかし最近、こう思うようにもなりました。
「SEOって、何だろう?」
そこで、すでに知り尽くした知識であるはずのSEO対策とその歴史を振り返り、改めてそれらを紐解いてみようと思います。
SEOの歴史をざっくりと振り返ろう
SEOの歴史は検索エンジンの歴史でもあります。
ただ、それら全てを一々記載していたのでは日が暮れてしまいますので、とりあえず主要な事件・イベントに絞って書いて行きます。
1990年代前半(1990~1994)
Yahoo!やInfoseekを始めとして、世界中で多くの検索エンジンが生みだされては消えていった時代。
パソコンという存在は知られていたが、その多くが業務用であったため一般世間には浸透していなかった時代。
そのため、SEOという概念はこの時代には存在しなかったように思える。
1990年代後半(1995~1999)
1995年にMicrosoft社が「Windows95」の発売を開始し、家庭用コンピューターとして大ヒット。
1996年に日本にヤフー株式会社が設立され、検索エンジン「Yahoo!JAPAN」が登場。
Windows95が大ヒットしたことも追い風となり、Yahoo!JAPANが日本の主要検索エンジンとして広く認識されるようになった。
1998年、Microsoft社は「Windows98」を発売し、WindowsというOSのシェアを更に伸ばす。
また同1998年、米Google社が設立し、検索エンジン「Google」がアメリカに登場。
この時代のSEO対策はページ内やmetaタグへのキーワード詰め込み、つまり不正(低品質)な内部SEO対策が主流だった。
私が始めて手にしたパソコンもWindows95でした。
この当時のインターネットは、雑誌や人づてなどで教えてもらったURLを一文字ずつ手入力するか、Yahoo!のトップページから検索をかけて、何ページにも渡って総当り的に情報を拾い集めるのが主でしたね。
手間はかかりましたが、ゴミ山から宝物を見つけ出すような、何とも言えないワクワク感もあったように感じます。
2000年代
2000年、検索エンジン「Google」の日本語版が登場。
Googleのページランクを用いたサイト評価方法を逆手に取った被リンク構築によるSEO、いわゆる外部SEO対策という概念が生まれた。
これは非常に長い期間に渡って検索結果の順位に大きな影響を与え続けることとなる。
そしてGoogleの登場によってインターネットのあり方も大きく変わり、以前は上でもコメントした通り時間も手間もかかる非常にアナログな手段でホームページへアクセスしていたのが、検索を1~2回行うだけで目当てのページにアクセスできるようになりました。
それがあまりに便利で衝撃的だったため、「ググる」という言葉が生まれたのかもしれません。
ちなみに、Microsoft社の検索エンジン「Bing」もこの時代に登場していますが・・・、まああまり話題になりませんでしたね(笑)
2010年代
2010年、Yahoo!JAPANの検索エンジンにGoogleの検索アルゴリズムを採用。
2011年、Googleがパンダアップデート(低品質コンテンツへのペナルティ)を実施。
2012年、Googleがペンギンアップデート(スパム行為、ガイドライン違反コンテンツへのペナルティ)を実施。
2013年、Googleがハミングバードアップデート(検索キーワードの意図を汲み取る施策)を実施。
これまでサイトの品質を下げる要因となっていた不正なSEO手法が徐々に通用しなくなり、サイトのコンテンツ自体を重視するSEO手法が推奨され始めた。
これにより、SEO対策というのは一旦はやりやすくなりました。(それまではYahoo!とGoogle両方に対応させなければならなかったため、結構煩雑だったようです。)
しかし、期を同じくしてGoogleが自身の持つ検索アルゴリズムの大規模な更新を実施し始め、その結果として、それまで不当なSEO対策で上位表示を実現していたサイトが日本の検索結果ページから姿を消しました。
実際、この時期に廃業に追い込まれたSEO業者やアフィリエイターは多いと聞きます。
SEOを必要としない世界を目指していたら、SEOが生まれてしまったという矛盾
これらの歴史を振り返ってみて、冒頭でも述べた「SEOとは何なのか?」という、私の中にあった1つの違和感に気付きました。
それは、そもそもSEOなんて概念はインターネットの世界には存在しなかったのではないかということです。
少なくとも、SEOとは我々一般のサイト管理者にまで認知されるような知識・技術ではなかったように思えます。
検索エンジンの歴史は1990年代から始まりますが、この時の検索エンジンの多くがディレクトリ型と呼ばれる、サイト管理者が事前に自分のサイトを検索エンジンに登録しておかなければ検索結果に現れないという、非常に不便なものだったのです。
そしてまた、この頃の検索エンジンは検索順位の精度も不十分で、我々ユーザーは有益な情報を見つけようと思ったのならば検索結果を5ページ、10ページ、20ページ・・・と深く潜って行かなければなりませんでした。
ただ、それが当たり前だと、世界中の人間がそう思っていたのです。
Googleというダークホースの登場で検索エンジンの常識が変わった
ですが、Googleという得体の知れない企業の登場で、2000年あたりからその常識が全く違ったものになり始めました。
Googleはそれまでの検索エンジンの常識を打ち破り、「ユーザーが最も望むものを、ユーザーが最も望む形で提供する」という検索エンジンを提供したのです。
その結果、それまでは5ページ、10ページ・・・と潜っても見つからなかった情報が、いきなり1ページ目の最初に現れるようになりました。これは以前では考えられなかった事態です。
日本に住む方で、この時代にインターネットを使っていた方ならお分かりになると思いますが、いつの間にか検索にはYahoo!ではなくGoogleを使うようになっていませんでしたか?
私はモロにこのタイプです。気が付いたら「ググる」というのが当たり前になっていました。
そのぐらい、Googleの提供した検索エンジン、そして検索によって得られる結果が、それまでのものよりも遥かに便利だったのです。
Googleの強烈すぎる個性がSEOを生んだ?
このようにとても便利なGoogleの検索エンジンだったのですが、ページの評価の仕方・・・つまり検索結果の順位付けを「インターネット上には善意のあるユーザーしかいない」という前提の元に行っていたため、ある法則が生まれてしまいました。
それは「あるページへのリンクを外部サイトに大量に貼れば、そのページは検索上位に表示される」といったものです。
そう、被リンク(外部SEO対策)という概念はこの時誕生したのです。
また、Googleが提供する検索エンジンの精度が高すぎるせいで、ユーザーはかつてのように検索結果を深く潜って行くことをしなくなりました。
最近ではほとんどのユーザーが検索結果の1ページ目しか見ていなく、2ページ目以降の閲覧数は以前よりはるかに少なくなりました。
そのため、多くのサイト管理者が「自分のサイトに人を集めるには検索結果の1位を目指さなければいけない」と考えるようになり、こぞってGoogleの検索エンジンのアルゴリズムを解析し始めたのです。
それまでは「ちょっとダーティーな裏ワザ」ぐらいの認識だったSEOが、本格的に「検索エンジンアルゴリズムの攻略法」として広く伝わり、考えられ始めたのですね。
つまり、Googleの登場によってインターネットは便利になったけれど、同時にサイト管理者にとっての多くの格差が生まれ、その格差が多くの不正を働かせる動機付けになってしまったのです。
今また、世界はSEOを必要としなくなってきています
SEOという概念が私たちサイト管理者の間で常識と言えるレベルにまで浸透してしまったのは、私は間違いなくGoogleのせいだと考えます。
便利すぎる仕組みが、多くのユーザーやサイト管理者から他の選択肢を奪ってしまったのです。
しかし今、GoogleはSEOを広めてしまったその自らの手で、SEOを否定し始めてきているようにも感じます。
パンダアップデートやペンギンアップデートと呼ばれる検索エンジンアルゴリズムの更新を繰り返すことで、それまで有効とされてきたページランクや被リンク、キーワードの詰め込みなどの小手先のSEOが通用しなくなってきました。
そして最近では、ホワイトハットSEOやコンテンツSEOなどと呼ばれる、いわゆる正統派のWebサイト構築理論を掲げる人も多くなってきました。
SEOという単語や概念はきっとこの先もずっと残ると思います。消え去るには、あまりにも広く認知されすぎた言葉だからです。
しかしこれからのSEOは、おそらくこれまでのSEOとは全く違ったものとなるでしょうね。
そしてそれはSEOと呼ぶべきものではなく、ただ単純にユーザーのためのコンテンツを作り上げる、それだけになると思います。